[シングルス2回戦]
○カルロス・アルカラス(スペイン) 7-6(6),6-1 ●マテオ・アルナルディ(イタリア)
■第1セット終盤、流れはアルナルディに傾いていた。アルカラスは2-1からブレークバックを許し、リズムを崩す。いつになくアンフォーストエラーが立ち、このセットは第2サーブになると22%しか得点できていなかった。タイブレークも2-6と追い込まれた。ファンの大半は、次のセットからの巻き返しを祈っていたのではないか。しかし、アルカラスの視線の先は、別の方向だった。
■「まだ終わっていない、最後のポイントを相手が取るまで自分はセットを落としていないのだ、と自分に言い聞かせた」とアルカラスが明かす。最初のセットポイントを相手のミスでしのいだのが大きかった。アルカラスは開き直ったように、のびのびと腕を振り、力みが見られなくなった。最後はアルナルディのリターンがアウトになり、アルカラスが6ポイント連取の大逆転でセットをものにした。
■アルカラスのストロークがより堅実に、また、よく伸びるようになった要因は開き直りでは片づけられない。相手はアルカラスのトップスピンにうまく対応し、待ち構えたようにカウンターを打ってきた。これを嫌い、力んでネットに掛けたり、ショットがラインを割る場面が少なくなかった。逆襲を避けるためか、ドロップショットを多用する傾向も見られた。だが、セット終盤、アルカラスは別の手を打った。
■「相手がしっかり打ち返してくるのを感じ、変化をつけなくてはいけないと思った」とアルカラス。「スピンをかけすぎない」というのが具体的な対策だ。威力とスピードを少し犠牲にしても安定性を優先、まずはラリーすることを心がけたという。アルナルディはカウンターパンチを放つ機会を見つけられず、自分から仕掛けるしかなくなった。最初のセットポイントでのバックハンドのミスも、アルカラスが引き出したものとも言える。「彼の嫌がることをしてやろう」というねらいが見事にはまり、タイブレークでの6ポイント連取の逆転劇を導いた。
■アルカラスは引き寄せた流れを相手に渡さず、一方的なスコアで第2セットも取った。「ストレートセットで終わらせることができてよかった。次の試合に向けてエネルギーもセーブできた」と涼しい顔で振り返った。ただ、第1シードが披露したのは、本当に大事な数ポイントをもぎ取ることで、試合を根こそぎひっくり返す、離れ業だった。
(日本テニス協会)
























