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【2025/9/28】アルカラスがナカシマを破ってベスト4入り

[シングルス準々決勝]
○カルロス・アルカラス(スペイン)[1] 6-2,6-4 ●ブランドン・ナカシマ(米国)

■ナカシマへの声援の大きさが、少しでも長く試合を見ていたいという、ファンの思いを伝えていた。アルカラスは1回戦で痛めた左足首に不安がある。そこで、「もっと攻撃的にプレーする。そして、できるだけ相手を走らせる」と試合前にプランを立てた。強打に加え、ポイントを早く終わらせようと、積極的にネットを取った。その攻めが、ことごとく得点につながった。押され気味のナカシマにもできるだけ頑張ってもらい、異次元のテニスを堪能したいというファン心理が働いたものと思われる。

■第1セットは31分で決着した。アルカラスのファーストサーブ時のポイント獲得率は100%だった。だが、ファンの願いが通じたのか、第2セットはナカシマが粘ってブレークポイントをしのぐ場面もあり、最後まで僅差の展開になった。足首への影響を考え「クレージーなショットはなるべく打たないようにする」と言っていたはずのアルカラスだが、数本、それを披露した。俊足を飛ばして相手の角度をつけたショットを切り返した場面は、まさに「クレージー」だった。このセットは49分を要したが、アルカラスに危ない場面はなかった。

■「信じられないようなプレーができた。このことについて嘘は言わない。感覚が良く、なんでもできるような気がした。どのショットもすべて良かった。完璧なプレーができたことに自分でも満足している」。勝利者インタビューでアルカラスはご機嫌だった。

■懸念が消えたわけではない。アルカラスはこう明かしている。「思うように速く動けないことがあるのは分かると思う。だから全部のステップに注意を払った。サイドからサイドへ走るのは避けたいから、時にはビッグショットを放つんだ」。故障の悪化を回避しつつ、勝つ。アルカラスは、そんな困難なチャレンジを続けている。ファン歓喜の攻撃に特化したテニスは、その副産物とも言えそうだ。

(日本テニス協会)

本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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