[車いすテニスシングルス1回戦]
○小田凱人 6-0,6-0 ●城智哉
■一昨年、昨年と大会を2連覇した小田が有明に帰ってきた。初戦の相手、城(たち)は同じ愛知県の出身で、車いすテニスを始めた頃の練習仲間でもある。22年大会で国枝慎吾さんと大熱戦を演じるなど思い出の多い有明で、幼い頃から知る城と試合をするとあって、小田は「これまでにない感じ」で試合を迎えたという。
■城のITF(国際テニス連盟)ランキングは50位、力の差は大きく、小田は「仕上がってるなと思ってもらえる試合」「予想を超える試合」を見せることをモチベーションに戦った。目標にしていた、サーブの自己最速174キロの更新はかなわなかったが、6-0、6-0のシャットアウト勝ちに、「試合前からワクワクしていて、試合に入っても楽しくテニスができた」と笑顔で振り返った。
■9月の全米オープンで生涯ゴールデンスラム(四大大会、パラリンピック全制覇)を達成、立派な肩書きがまた一つ増えた。大記録達成後の最初の公式戦だったが、それは特別、意識しなかったという。節目と言えば、9歳で左股関節の骨肉腫を手術してから、ちょうど10年になる。
■「ここにいる誰よりも底辺を知ってるのは俺だろうなっていうのは、どこに行っても思う。それがテニスにもうまく生きている」と小田。10年で「考え方も変わった」が、病気をしたからこそ車いすテニスに出会い、世界一になって脚光を浴びることができた、という思いは変わらない。「いろんな出来事は、悪く思うなら悪く思えるし、よく思おうと行動すれば、いい方向に転がってくれる。自分次第だよっていうのは発信したい」。今後もテニスを通じて、メッセージを送り続けるつもりだ。
(日本テニス協会)
本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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