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【2024/10/1】フィスがフランス勢対決に勝って初優勝

[シングルス決勝]
○アルトゥール・フィス(フランス) 5-7,7-6(6),6-3 ●ウーゴ・アンベール(フランス)

■激戦をいくつもくぐり抜けてきたフィスは、決勝の舞台に立った時点で「少し疲れていた」という。序盤の動きは遅く、体力をセーブしているようにも見えた。1時間を要した第1セットは、5-7で失った。第2セット序盤にはメディカルタイムアウトで脚のマッサージを受けた。そのフィスが、ここから2セットを連取するとは、だれが思っただろう。

■第2セット、「サービスゲームのキープだけを心がけた。できるだけのことをしようと思っていた」とフィス。3-4からのサービスゲームでは0-40のピンチをしのいだ。このあたりから、動きが蘇った。この大会で何度も観客をどよめかせたフォアハンドの強打は数えるほどだったが、無尽蔵のスタミナでボールを拾った。アンベールの早いタイミングのショットを鮮やかに切り返した。

■このセットのタイブレーク、相手のマッチポイントで放ったパスを、フィスは「クレージーなバックハンドだった」と振り返った。確かにそれは、どこか現実離れしたような鮮やかさだった。これで潮目が変わった。疲れているはずのフィスが精気あふれる動きを見せる。今大会、素晴らしいプレーを続けていたアンベールも、奔流のような展開には逆らえなかった。パリ五輪では一緒にダブルスをプレーした親友を逆転で破ったフィスは、「テニスはたった1秒で変わってしまう。僕が負けてもおかしくなかった。そんな決勝だった」と胸を張った。

■第1シード、テーラー・フリッツ(米国)との3セットにもつれた1回戦を皮切りに、準々決勝では前年優勝のベン・シェルトン(米国)と3セットの死闘を演じた。試合途中にメディカルタイムアウトをとり、下肢の治療を受ける場面もあった。ホルガー・ルネ(デンマーク)との準決勝は、2セットともタイブレークにもつれる熱戦。勝利の瞬間、脚のけいれんを悪化させたフィスは顔をゆがめ、倒れるようにベンチに座り込んだ。決勝の所要時間は3時間5分。優勝トロフィーを抱いたのは、この大会で最も奮闘した選手だった。

(日本テニス協会広報部)

本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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