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【2023/10/22】シェルトンが初めての決勝進出で初優勝

[シングルス決勝]
○ベン・シェルトン(米国) 7-5,6-1 ●アスラン・カラツェフ

■カラツェフは準決勝までの4試合で一度しかサービスゲームを落としていなかった。キープ率98%は出場選手のトップだ。今大会、有明の球脚の速いコートに最も適応していた選手と言える。サーブ力に加え、ストロークの最初のショットで優位に立つことが多かった。そのサービスゲームをシェルトンが攻略した。

■冒頭のカラツェフのサービスゲームでリターン&ネットを成功させ、この試合で最初のポイントを得た。完璧なタイミイグでとらえたリターンで、カラツェフに自由にストロークを打たせなかった。ブレークに結びつくことはなかったが、5-5からの相手のサービスゲームでブレークポイントを握ると、またもリターン&ネットを鮮やかに決め、両者を通じて初めてブレークに成功した。

■土俵の真ん中で組み合ったまま動かなかった二人だが、このブレークでシェルトンが大きく押し込んだ。第2セットはカラツェフのプレーのレベルが落ち、一方的な展開になった。シェルトンはサービスゲームでも抜群の安定感で、最初のサービスゲームを除き、相手にブレークポイントさえ握らせなかった。

■1セットも落とさず勝ち上がったカラツェフとは対照的に、最終セットのタイブレークでダニエル太郎(エイブル)を振り切った1回戦から、どれも接戦、苦戦だった。準決勝ではマルコス・ギロン(米国)に6-7,2-5と土俵際まで押し込まれた。「ジェットコースターに乗っているような1週間だった」とシェルトン。それでも、この決勝では相手に主導権を渡さなかった。

■シェルトンは「静かで落ち着いた気持ちでプレーできた」と振り返った。一方で、リターン&ネットやカウンターパンチを放つ瞬間は迫力満点だった。「このところ集中して取り組んでいるのは、感情的になるときとならないときのバランスを正しく保つこと」と明かしたシェルトン。プレーの力強さと相まって、勢いに任せて突き進むイメージがあったが、この大会で見せた新境地だった。

■今季は96位からのスタートだった。全米4強など大舞台で好成績を残し、トップに駆け上がった。アジアシリーズでも好調を維持、直近の16試合で14勝2敗と無敵状態だ。月曜日に更新されるランキングでは15位に上がる。今後も間違いなく大きなタイトルを取るだろう。ただ、本人に浮ついたところはない。「今はこの結果を落ち着いて考えることに専念したい。もちろんうれしいことはうれしいが、将来については特に考えていない。現時点では明日のこと、次の大会のことを考えるだけ」。冷静な受け止めが、いかにも大物と思わせる。21歳に輝かしい未来が待ち構えているのは間違いない。

(日本テニス協会広報部)

本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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