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【2023/10/19】望月慎太郎が第1シードのフリッツに逆転勝ち

[シングルス2回戦]
○望月慎太郎(IMG Academy) 0-6,6-4,7-6(2) ●テーラー・フリッツ(米国)

■第1セット0-6からの逆転だった。第3セットも2-5と土俵際に追い込まれたが、あきらめなかった。世界ランキング215位の望月慎太郎が第1シードで10位のフリッツに挑んだ2回戦は、だれも予想できない展開、そして結末になった。

■トップ10とは初対戦、望月はラケットが振れないほど緊張していたという。「この試合には負ける」。出足でつまずき、そんな考えが頭をもたげた。それでも「自分のプレーに集中し、100%の力を出そう」という気持ちは失わなかった。そうするうちに、開き直ることができた。「1回戦を勝ち上がって、こういう(トップ)選手と試合ができている。第2セットもそのまま(緊張した状態で)やっても意味がない」。目の前のボールに集中する、走って走って、(攻撃的に)行けるときは行く。思考がシンプルになり、そこから逆転劇が始まった。

■第2セット中盤から、グラウンドストロークからネットを取る本来の形が見られるようになった。3-3からのゲームで初めてブレークに成功、そのまま6-4でセットを取った。だが、フリッツもすぐに立て直し、最終セットは2-5と離された。望月はラリーで余裕がなくなり、無理に攻めてミスをする場面が増えていた。ところが、3-5からのフリッツのサービスゲームをラブゲームでブレーク。精神的に相手を見下ろす位置に立った望月がタイブレークを制し、金星を手中に収めた。

■第2セットのブレークの場面をフリッツは「何もできない状態だった」と振り返った。第3セットの痛恨のブレークについても「自分としては何も間違っていなかった」。いずれの局面も、自分のプレーが悪かったのではなく望月のプレーのレベルが急に上がったという見立てだ。金星を献上したフリッツは「第1セットは215位のプレーだったが、第2、第3セットはトッププレーヤーと同等だった」と褒めた。

■記者会見で司会者に促され「本当に何と言っていいか分からない。テレビやSNSで見てきた選手に勝てたのはすごい」と感激を口にした望月だが、日本語でのやりとりでは冷静さが目立った。「もちろん自信がついたところもある。やり続ければ、こういう相手にも勝ち切れるとは思うけど、変わらずこれからもタフな戦いが続く。いい意味で自分には期待していない」。まだ20歳、プロのキャリアは始まったばかりだ。翌日には準々決勝が控えている。やってきたことの正しさは確認できたが、それ以上でも以下でもないということだろう。この冷静さ、その大人びた表情からプロの矜持が読み取れた。

(日本テニス協会広報部)

本記事は、日本テニス協会メールマガジン「Tennis Fan」の抜粋です。「Tennis Fan」の購読ご登録はこちらから!
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