[シングルス決勝]
○T.フリッツ(米国) 7-6(3),7-6(2) ●F.ティアフォー(米国)
■米国勢同士の決勝は、2セットともタイブレークで決着、サービスエースは共に12本、サービスブレークは一度ずつと、ほぼ互角の内容だった。フリッツは11位、ティアフォーは19位といずれも自己最高ランクで臨んだ今大会。上り調子に加え、フリッツはこの大会に初のトップ10入りが懸かっていた。ティアフォーも優勝すれば15位に浮上するとあって、モチベーションでは劣らなかった。
■決まったと思ったボールが決まらない。強打にドロップショットと、あの手この手で揺さぶっても、質の高いボールが返ってくる。息詰まるラリーから、両者のこの試合への意欲が読み取れた。「彼は大事なポイントでとてもいいプレーをした」。ティアフォーが振り返ったように、わずかの差が勝敗を分けた。「今日だ、これが自分のチャンスだと思って挑んだが、かなわなかった。ほろ苦い1週間になってしまった」とティアフォーが悔しがった。それでも、「負けない自分を見い出したようにも思う」と自信を持ち帰る大会になった。
■フリッツは「サーブが信じられないぐらい良かった。1回も確率が下がる場面がなかった。冷静にプレーできて、自分が何をすべきか明確に考えて戦うことができた」と胸を張った。前週の韓国の大会で新型コロナ陽性となり、現地での隔離を経て開幕後の水曜日に来日、その日に初戦を迎える強行日程を乗り越えた。月曜日に発表されるランキングで8位に上がることが確定している。「この10日ほど、どうしていいかわからないような混乱した状況だった。予想もしていなかった素晴らしい結果だ」と喜んだ。
■ティアフォーによると、同い年の二人は「互いに友情を感じる仲」だという。「ランキングも近い。僕は彼のすぐ後ろを進んでいると思う。互いに刺激し、プッシュしながら前に進んでいけたら」とフリッツにエールを送る。そのフリッツはティアフォーについて「この数カ月、とても良いプレーをしている。去年の終盤に自分が通った道を今は彼が通過していると思う。来年の今頃、トップ10に入るのではないか」。打ち合わせたかのように、両者の視点が一致した。
(日本テニス協会広報部)
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